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廣見恵子写真展
「DRAG QUEEN ジャックス・キャバレーの夜」


廣見恵子写真

          ©Keiko Hiromi

会 期 / 2009年7月3日(金)〜7月31日(金)
時 間 / 11:00〜19:00
休 廊 / 日・月・祝
入場料 / 無料

廣見恵子ギャラリートーク

写真展に合わせて、廣見恵子によるギャラリー・トークを開催致します。
日 時 / 2009年7月17日(金) 19:00〜(当日は18:00閉廊)
聞き手 / 田島正夫(元アサヒカメラ副編集長)
参加費 / 2,000円
mailもしくはお電話にて要予約。
mailの際はお名前・ご住所・お電話番号を明記のうえ、送信して下さい。
*スタッフより予約確認のmailを送らせて頂きます。

終了致しました。たくさんのご参加ありがとうございました。

*お客様の個人情報を漏洩・流出させたり不正に利用したりしないよう、厳正な管理を実施しております。

内容紹介


ボストン在住10年の廣見が、女装した大男集団の中に飛び込み、DRAG QUEENと呼ばれる彼ら(彼女ら)の生や喜怒哀楽をダイナミックにとらえたモノクローム作品(ゼラチン・シルバー・プリント)、約40点を展示。
被写体の過激さやけばけばしさと裏腹に、廣見の写真は宝石のように不思議な美しさを孕んでいます。

【DRAG QUEEN(ドラァグ・クイーン)】
成語の由来はいくつかあるが、演劇の世界で女優に扮した子役や小柄な男優が、衣装を引きずった(DRAG)のが始まりという説が一般的。
DRUG(薬物)と区別するため、日本では「ドラァグ」と表記されることが多い。

廣見恵子写真

          ©Keiko Hiromi

「DRAG QUEEN ジャックス・キャバレーの夜」

                                                                                                                   廣見恵子

  初めてDRAG QUEENのショーを観たのは、友人に連れて行かれたボストンにあるジャックス・キャバレーだった。ドアには粗末なネオンサインが瞬き、ウォッカをたのむとプラステイックのカップが目の前に出てきた。
  店内は薄暗く、一見して常連とわかる男性客、背が高く二の腕たくましい女性客、騒々しいだけのバチェラレット・パーテイー(結婚式前夜の新婦と、その友人たちによるドンチャン騒ぎ)に混じって、私たちはショーが始まるのを待った。
  ショーは衝撃的で、頭に稲妻が走ったように自分が興奮していくのを感じた。舞台の上での性表現は過激であり、滑稽であり、底知れなく明るかった。
  DRAG QUEENたちはなんと不思議な存在感を持つのだろう。どぎついまでの個性的な出で立ち、惜しみなく露出する肉体美、嘲笑するかのようなセックス・トーク。もしもこれらが通常の男性による舞台であれば、私はとても恥ずかしくて観ていられなかっただろうし、女性によるパフォーマンスならば、何とも言えないバツの悪さを感じたかもしれない。
  DRAG QUEENたちのあっけらかんとした性へのアプローチと溢れるエネルギーは、私の持つ俗物的道徳観、羞恥心をことごとく打ち砕いてくれた。

  撮影を通して、彼女たちの新たな一面もたくさん発見した。
  舞台の上で客をこき下ろし、セックス・ジョークを連発するクリスの素顔は、はにかんだ笑顔を持つLLサイズ紳士服専門店の店長だった。「なに撮ってもいいけど……私が下着を替えている時はなしね。それが私とのルールよ」と言ったのは、最初に撮影の許可を得たジャックス・キャバレー伝説のDRAG QUEENミザリーだった。デストニーはいつもショー開始直前に出勤し、「私、取っちゃったから準備が簡単なの」と舌を出す。女装ウェイトレスのジョージョーは、最近女性と結婚した。
  こうしてDRAG QUEENと親しくなるにつれ、私はどんどん彼ら(彼女ら)の世界にのめりこんでいったのだった。
  私にとって写真とは「出会い」そのものであり、カメラは未知なる世界と出会うための秘密の扉を開ける鍵でもある。DRAG QUEENたちの自由でしたたかな生きざまは、私に進むべきひとつの方向性を示してくれたと同時に、写真を通した人生の新たな局面を与えてくれたと感じている。

廣見恵子写真

          ©Keiko Hiromi

作家プロフィール


廣見恵子(ヒロミケイコ) 1980年 東京生まれ

1999  渡米
2004  ボストン・Suffolk Universityコミュニケーション学部卒
2005  New England School of Photography報道写真学部卒

<受賞>
2006  グリフィン写真美術館 新鋭写真作家賞
2008  Project Basho 新鋭写真作家賞
2009  ニューヨークPen and Brush女性写真家作家展 佳作

主な展覧会


2007  コロラド州デンバー国際空港写真展 出展
2009  個展 Brookline Art Center
        個展 Arlington Art Center
        「DRAG QUEEN ジャックス・キャバレーの夜」 gallery bauhaus
2010  「The Collection II」 出展 gallery bauhaus
        個展 マサチューセッツ州議堂
        個展 Arlington Center for Arts