伊藤進哉写真展
「チェコ 微光の街」 The Gleam of the Town
©Shinya Ito
会 期 |
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2012年9月5日(水)〜10月31日(水) |
時 間 |
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11:00〜19:00 |
休 廊 |
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日・月・祝 |
入場料 |
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無料 |
内容紹介
1993年の「ビロード離婚」と名づけられたチェコとスロバキアの国家分離の後、
Velvet(ビロード)のような柔らかな民主化の風が吹くチェコを、4x5インチの大型カメラで撮影した作品展。
モノクローム(ゼラチン・シルバー・プリント)32点を展示。
チェコ 微光の街
伊藤進哉
1997年の3月初旬、春を待つプラハに降り立った。街は粉砂糖をふりかけたようにうっすらと雪に覆われ、まばらな人影は足早に家路を急ぐ。
宿がなかなか見つからず、氷雨に濡れて熱を出したり、街でスリに狙われたりと、ろくなことがなかったにもかかわらず、この国にたまらなく惹かれてしまったのはなぜなのだろう。
プラハ、チェスキークルムロフ、ヘプ ─中世の面影を残す石造りの街々は、微細な光と影を映し出す。冬から春に向かうまだほの暗い空気の中で、わずかな光がそこここに見つかる。
そしてきっと、他のヨーロッパ諸国がそうであるように、この街も一気に春の光で満たされ、観光客であふれかえる日が来るのだろう。
暗室の中で蘇る細部の質感に、再びやわらかな光を見つけていく作業。現代生活の中で錆び付いてしまった繊細な感性を呼び覚ましながら、心地よい孤独感に包まれる。
あの頃のチェコは、共産党時代の名残を残しながらも、新しい時代に向かっていくちいさな希望の光を感じていた。
「チェコもちょうど早春のような時期だったのよ」と教えてくれたのは、後に私の義妹になったチェコ人だった。当時の私はそのことを知る由もなかったのだが。
作家プロフィール
伊藤進哉(イトウシンヤ) 福島県出身
1964 年 福島県生まれ。
日本大学芸術学部写真学科在学中に、アンセル・アダムスのオリジナルプリントを見て
衝撃を受ける。
1989年 卒業後、広告写真のスタジオに入社。仕事で広告写真を手がけながら、自身の作品は徐々に
大型カメラで撮影したモノクロームに絞り込まれてゆく。
同時に技術的重要性を感じゾーンシステムを学ぶ。
1997年 退社と同時に渡英。ロンドンを拠点にヨーロッパ各地を撮影して作品創りを始める。
2009年 個展「IRELAND−聖なる島へ−」 新宿ニコンサロン個展
「THE CELTS 風の王国」 gallery bauhaus