gallerybauhaus

井津由美子写真展
ICARUS   イカロス


井津由美子写真 井津由美子写真
     ©Yumiko Izu

会 期 / 2017年9月13(水)〜11月18日(土)
時 間 / 11:00〜19:00
休 廊 / 日・月・祝
入場料 / 無料

*作家在廊日:9/15(金)・16(土)・29(金)・30(土)
          10/11(水)〜14(土)・17(火)
          いづれも12:00〜



内容紹介


マンハッタンからニューヨーク北部のアップステイトに移り住んだ作者が、周囲の豊かな自然から多くのインスピレーションを受けて生まれた「ICARUS 」シリーズ。
11x14インチの大型カメラと、カメラを使わないフォトグラムという手法で制作されたモノクローム(プラチナ・プリントとサイアノタイプ・プリント)作品26点を展示。

*同時開催「Secret Garden」(一階展示室)
2003年より7年に渡り花をモチーフに制作したシリーズ「Secret Garden」。
2014年に当ギャラリーで国内初披露となる写真展を開催し、大きな反響を呼びました。
その「Secret Garden」より、未発表作品を展示致します。
モノクローム(プラチナ・プリント)作品、16点を展示



「ICARUS」

井津由美子

   十数年前にマンハッタンを離れてニューヨーク北部のアップステイトに住み始めた。ハドソン川沿いの森の中での生活を通して、私は周りの自然からたくさんのインスピレーションを受けている。鳥の命の営みもそのうちのひとつだ。
   厳しい冬がようやく終わりを告げ、残雪の間から紫のクロッカスが顔を覗かせる頃、冬の間には姿を見せなかった鳥たちが、どこからともなく姿を現わすのを目にする。 早朝から夕方まで休む間もなくさえずる鳥の求愛の歌を聴き続け、やっとそれが終わり一息つくと、今度はいっせいに私の家の周りで巣作りが始まる。森には何千何万という数の樹々が存在するにもかかわらず、鳥は外敵から身を守るためにあえて人間の近くに巣を作るようだ。 我が家の軒下やポーチ、キッチンの前の紫陽花の木やガレージに逆さに吊るされたカヌーの中。ありとあらゆる場所で自然の営みが繰り返されるのを、私は毎日眺めながら暮らしている。
   尖ったくちばしに小枝や藁や苔をくわえ、数え切れないほど往復してようやく完成する鳥の巣。残された巣を見てみると、ひとつひとつが違う形や表情を持ち、同じものはひとつとして存在しない。複雑に編み込まれた模様や微妙な曲線、その繊細な造形美に時の経つのも忘れて見入ってしまうことがある。まるで精巧に編まれた物語を読んでいる時のように、見るたびに新たな発見がある。よく観察すると毛糸やビニールの端切れ、ボタンや新聞紙など人工的な素材も使われていることに気づく。馬の毛や蜻蛉や蛾の羽が編み込まれていたり、卵の殻や羽根が落ちていたり、骨や孵らなかった卵がポツリと残っていることもある。
   空っぽの鳥の巣や残された羽根を見ていると、私の胸には、かつてそこに存在していた生と死の痕跡が色濃く迫ってくる。親鳥が与えるエサを無心に食べてたくましく成長するひな鳥たち。外敵に襲われて命を落とすひな鳥たち。孵る卵と孵らない卵、飛び立つひなと死んでいくひな。一歩足を踏み外すとギリシャ神話のイカロスのように真っ逆さまに落ちてしまう、生と死の境界線はかくもか細く危うい。私はその危うさを、対象に宿る命の記憶を写し取りたいと思った。

   「ICARUS」シリーズは、11x14インチの大型カメラで微細に表現された鳥の巣と、カメラを使わないフォトグラムという手法で写された羽根の二部構成で成り立っている。



【ギャラリー・トーク】

【第一回】井津由美子×小手鞠るい(小説家)

日  時 /2017年9月16日(土)19:00〜 (当日は18:00閉廊、18:30より受付開始)
参加費 / 2,000円

終了いたしました。たくさんのご参加ありがとうございました。

【第二回】井津由美子×猪股良文(写真家、オルタナティブ・プリント講師)
日  時 / 2017年9月30日(土)19:00〜 (当日は18:00閉廊、18:30より受付開始)
参加費 / 2,000円

小手鞠るい(こでまりるい)
1956年生まれ。81年にサンリオ「詩とメルヘン賞」、93年に「海燕」新人文学賞、05年に島清恋愛文学賞、09年にボローニャ国際児童図書賞を受賞。主な作品に『欲しいのは、あなただけ』『美しい心臓』『望月青果店』『永遠』『アップルソング』など。
2017年9月『星ちりばめたる旗』ポプラ社より刊行。

猪股良文(いのまたよしふみ)
東京生まれ。日本大学芸術学部在学中より電通写真部アシスタント・個人アシスタントを経てフリーになる。車・建築写真を主とする。
細江英公ワークショップ、ジャックウェルポット・ジュディードーターワークショップ参加。 20年前よりプラチナプリントにて作品制作。 2013年よりアマナサルトにてオルタナティブ・プリント制作担当。 2016年10月よりアトリエ・シャテーニュにてオルタナティブプロセス・ワークショップを毎月開催。

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作家プロフィール


井津由美子(いづゆみこ)

1968年 大阪生まれ
ニューヨーク在住
1998年 カリフォルニア州サンタバーバラのブルックス大学写真学科卒業後、ニューヨークでジュエリーの広告写真からフォトグラファーのキャリアをスタート。
2003年より広告写真と平行して、8×10インチのカメラでプラチナ・プリント技法による「Secret Garden」シリーズを制作開始。
2007年 ニューヨーク州ウッドストックセンター・フォー・フォトグラフィー奨学金受賞。サミュエル・ドースキー美術館に作品が収蔵される。
2010年  「Secret Garden」から新作20点をマンハッタンのラルフ・ローレン本店にて展示。
2011年より11×14インチの大判カメラで撮影した新シリーズ「Faraway(闇の彼方へ)」を制作開始。
2013年 東京Zeit Foto Salonにて個展「Faraway(闇の彼方へ)」開催。
2014年 東京gallery bauhausにてディアドルフを愛用する写真家10名による写真展「DEARDORFF」に出品。
2014年 東京gallery bauhausにて個展「Secret Garden」開催。
2016年 写真集「Resonance」Serindia Contemporaryより出版。
2017年 秋、台湾フォトフェア・台北1839 Contemporary Gallery・バンコクSerindia Galleryにて個展開催予定。
現在、ニューヨークのHoward Greenberg Gallery所属

Official Web Site http://www.yumikoizu.com/


ICARUS
Yumiko Izu Photo Exhibition
September 13-November 18,2017
gallery bauhaus
2-19-14 Sotokanda, Chiyodaku, Tokyo, Japan
Access map
About 6 minutes walk from Ochanomizu station (JR line/Tokyo Metro Marunouchi line).