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Interview
Noriko Nasu-Tidball


上野道弘 岡崎正人 小瀧達郎 小松義夫 杉浦厚 世利之 田所美惠子 田中長徳 那須則子 堀野浩司


nasu写真


Q. 那須さんは昨年はじめてパノラマカメラを購入したとのことですが、パノラマカメラをはじめようと思ったきっかけを教えてください。

A. 最初デジタルで写真を始めた頃は、いつもズームレンズで写真を撮っていました。その後、古いフィルムカメラを使い始めてからは単焦点レンズに代わり、主に35mmと50mmで写真を撮りました。
そのうちにもっとワイドな画角が欲しくなり21mmレンズを手に入れた頃に、パノラマカメラの存在を知りました。さらにワイドな画角だとどんな感じになるのだろう、最初は好奇心からのスタートでした。

Q. パノラマカメラでの撮影で苦労されたことはありましたか?

A. 今までのライカのフレームから視野がいっきに広がったので、最初は構図が決められずに戸惑いがありました。また使用した機材の一台、Mamiya7の中判カメラはレンズが80ミリの標準レンズ一本だったので、パノラマ感を出すのに苦労しました。

Q. 1990年からバンクーバーに在住とのことですが、バンクーバーでの生活や撮影して感じたことなどを教えてください。

A. 移住した当初は地味な中規模の都市といった感じでしたが、2010年のオリンピックあたりから随分都会になったという感じがあります。移民の国ですので、いろいろなバックグラウンドを持つ人たちが住んでいて、戦前日本からもたくさんの方が移住されました。特に和歌山県の方が多いので、和歌山生まれの私にとってはなんだかご縁を感じる街ではあります。そういう意味でも、写真を撮るときは移民や彼らの暮らしなどに興味を惹かれます。

Q. 今回使用したパノラマカメラについて教えてください。

A. 機材は3台使用しました。最初はロシア製のHorizontを購入しましたが故障で使えなくて、カナダでは修理できるところが見つかりませんでした。2台目のHorizontもロシアに注文したのですがなかなか届かず、代案として中判カメラMamiya7にパノラマ写真用のアダプターをつけて使用しました。
ロシアからようやく届いた2台目も1台目同様に完全ではありませんでしたが、フィルム一本に2〜3コマ使えるカットがあったのでだましながらMamiya7と併用して使用しました。

Q. 暗室作業でのこだわりはありますか?印画紙は何をお使いですか?

A. 暗室は初めてのパノラマプリントなので、手探り状態でした。親しい友人からの助言をもとに試行錯誤しながらなんとか仕上げることが出来ました。
印画紙はチェコのfomatone131と132を使っています。何種類かを試した中で、これらの紙が自分の作風にはあっていると感じています。

Q. ギャラリーに見に来られた方が、一片の映画を観るような物語性があると感想を述べられていましたが、那須さんの今回の出展作についてテーマ、あるいは見どころなどを教えてください。

A. パノラマカメラのファインダーをのぞくと、そこには普段見えていない世界が広がっていました。撮るたびに自分を取り巻くさまざまな事象に、日々いかに気付いていないのかと驚きました。
そういったパノラマ独特の世界観をふまえて、バンクーバーの冬の穏やかな自然や昔からある懐かしい雰囲気を撮り歩きました。コロナ禍の中で写真を撮りながら、私もひと時安らぎを感じることができました。
展示作品からいくらかでも、私と同じ感情を共有していただけたらと思います。


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那須則子 Noriko Nasu-Tidball

1990年カナダへ住居を移し会社員生活を送る。 退職後、自身のポートレート撮影を依頼した際、写真教室を勧められ受講。 その後、その講師であった写真家のアシスタントを務め結婚式等の撮影を行う。傍らNPOやバンクーバー教育委員会からの依頼の仕事をする。ここ何年かはフィルムで自分のテーマに沿った写真を撮っている。

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Horizontで撮影中の那須則子
Vancouver


文責・編集 gallery bauhaus
鈴木拓也             



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